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何年か前の初夏のある日、お世話になった方の見舞いに行った
時、ベットの窓辺近くの外の傾斜地に葉を茂らせて
咲く白い花は何だろうとおもった。
花木や野草に詳しい友人は「あれはサワフタギ」だと教えてくれた
この何気ない傾斜地の自然の移ろいがどれだけ慰めてくれているかを
静かに語った、その人ももうこの世の人ではなくなった。
春の華やかな花の時期が過ぎ、新緑が深まる頃
になると、目立たない白い花が山野に増えてくる
この白い花の時期も、爽やかで たまらなく好きだ
よく見ていると会津盆地を取り囲む沢沿いに
名前のごとく、沢に蓋をするように咲いている
このを見ているといつもその人のことを想い出す。
秋に山にある美しいブルーの実を付けるのがあの
サワフタギとわかるまでに何年も時間を要した。
昔料亭をしていた時代、お客様との交信用に
使用していた葉書に、このサワフタギの絵があったが
それがこの花だとわかるまでに20年の時間が過ぎ去ってしまった