| 05.お薦め連載「季を食らう」 01月25日 11:04 |

- 浅葱(季を食らうNo.6)


小さかった頃、母親の実家に家の事情から預けられた。小さかった俺は、祖母についてよく雪解けの畑に連れて行ってもらい、浅つき摘みをしたのを想い出す。

いまおもえば雲水が禅堂で使用する。きょうさくのような浅つきつみ専用の棒で祖母は器用に畑から芽を出している黄色い浅葱を掘り出していた。俺は泥まみれになりながら、祖母の真似をして掘るのがとても楽しみだった。

旧会津藩士が開墾に入植した痩せた土地で、私の一族は士族の誇りだけを拠り所に生きるために苦闘していたようだ。食膳にはよくこの浅葱が毎日にように出た。
酢味噌合え、お浸し、酢の物、味噌汁の具、正直言うとあまり好きではなかったが、酢味噌和えだけは大好きだった。

祖母の家の近くでは、冬、雪の下で栽培する方法が20数年前から行われ、市内の八百屋やスーパーでも見かける。酢味噌和えにしてみるがいまいち昔の味と異なる。

ぶよぶよしてあまり美味しいとは思えない。そういえば幼い頃見た浅葱はもう少し細かった。昔はどこの畑でも見かけたこの浅つきも、ここ近年は、除草剤やトラクターを使用した耕作方法の普及で姿を消しつつあった。

しかし山奥の里山で過疎のために耕作放棄された畑にこの浅葱が見られるようになってきた。この頃は雪解けの畑に浅葱摘みの姿を見かける。
*つづく・・


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