| 02.親父と「出会い」 11月08日 16:24 |

- トメさんとの約束

 トメさんは取引を始めた湯野上温泉の駅前、渡辺酒食品店のかあちゃんである。トメさんも先年亡くなった。トメさんはよく電話で注文すると注文を間違えた。電話に出ると素朴な声で、『モスモス渡辺です』と激しくなまっていた。徳さんにその声を真似て聞かせて大笑いした事がある。
 葬儀の席でトメさんの遺影にこういって別れを告げた。
 「トメさんあんたとの約束は果たしたよ・・」
 取引が始まり、まもなく湯の上の渡辺酒食品を訪れてみた。今夜は泊まって酒でも飲んでけれと言われ、利き酒のつもりがすっかり酔ってしまった。
 「必ず徳さんの酒が売れるようにしてみせる」これがトメさんとの約束であった。もちろん私が彼の今の繁盛を作ったわけではない、徳さんの努力の賜物以外の何者でもない。しかし当時私も徳さんも貧しかった。相変わらず私の店には客は来ないし、湯の上の徳さんのお酒もあまり売れなかった。
 冬、お店のスト-ブの前で暇な二人はどうしたらこのいい酒が売れるようになるか。
どうしたらお客様がきていただけるか、そんな話ばかりしていた。時間だけが過ぎていった。

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